n05p03_008 ©1973 中島敏

あいりん総合センター1階部分を、2階(構造上は吹き抜け上の3階にあたる)にのぼる階段の途中から撮影した写真。中島自身が上階のあいりん職安で認定をもらう途中に撮影した。

センターの1階や2階には食堂が建ち並び(もとは青空労働市場の時代に歩道で営業していた店だという)団子汁を出す店もあれば、即席ラーメンをつくって出す店もあった。とくに団子汁は労働者に人気だったという。

てんぷらカスとネギをぱぁ〜といれてね、塩味してるんですよ。私はああいうの好きやからよく食べてましたよ

2020年1月30日

写真の右手には新聞の売店があり、手前の労働者は新聞を広げている。なかには、朝早くに地下鉄に行き、通勤のサラリーマンが読み捨てた新聞や雑誌をかき集めて売る者もいた。この写真のなかでは、たくさんの労働者が集い、顔をつきあわせて談笑している。センターで労働者たちが繰り広げる社交性について、中島は次のように語る。

やっぱね顔見知り探してね、内輪の話をするんですよ。「あそこの飯場はどうだった」とか「昨日行ったところが良かった」とかね、情報交換をする。【このシーンがそうなんですね?】もう顔見知りよね。お〜、とかいうて。飯場に行く人は情報が欲しいんですよ、行く人はね。メシのこととか、どういう仕事をやってるとかね。【確かに、みんな情報交換してるように見えますね。】顔が向き合ってるでしょ。やっぱ知り合いを探しに行くんですよ、すーっとね。【ああ、それぞれ向き合ってるなぁ。】朝礼みたいなもんですわ。【朝礼って、朝の?】朝の朝礼。認定もらう前の。やっぱり情報収集って、ものすごく大事ですからね、ここでは。こういう日雇いの稼業では。

2020年1月30日