大阪市西成区の旧字・釜ヶ崎は、近現代を通じて断続的に「社会問題」の集積点として、調査研究の対象とされてきました。しかし、いま地域では厖大な未公表資料が、忘却・劣化・損失・散逸の深刻な危機にあります。これらを研究グループでは釜ケ崎史料アーカイブとして目録化に着手、公表可能なものを精選し『資料集・昭和期の都市労働者: 大阪 釜ヶ崎・日雇《図書資料編》戦後編前期』(近現代資料刊行会 2021年3月)に復刻しました。ひきつづき戦後編後期の編纂にあたっています。
他方、この途上で見出された課題として写真等をふくむ断片的な資料の扱い、公表可能性にかかる法的・技術的、運用上の課題があり、または倫理的な配慮から公表を見合わせた史料も数多く遺されていました。
そこで、わたしたちは労働者の過去と未来を架橋し、戦後「寄せ場」研究を通時的な「都市下層」研究史に再定位することを目指してアーカイブ化、さらには長期の運用指針のために、地理・歴史・社会調査法、図書館情報学等の複眼的な視点から研究に取り組んでいます。このウェブサイトは、これまでに収集した主な資料群から公表可能な調査データに解題をそえてご紹介するものです。
なお、著作権については文化庁のデジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定に関する基本的な考え方、写真の扱いはデジタルアーカイブ学会の肖像権ガイドライン等を参考にしています。それでも配慮のいたらぬ点、問題のある場合には研究代表者にご連絡ください。また、史実にかかわる点について記述の間違い等にお気づきの方は、ぜひご教示いただけますように、ご協力をよろしくお願いいたします。
※例としてランダムに表示されるヘッダー画像は、土田英雄(大阪社会学研究会)資料から印象的な記録写真を選定したものです。